日本消化器外科学会雑誌
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小児虫垂炎術後に発症した化膿性肝膿瘍の1例
高島 健川本 雅樹奥 雅志平田 公一
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2002 年 35 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

症例は8歳の男児. 腹痛, 嘔気を主訴に当院を受診した. 理学所見などから急性虫垂炎と診断した.緊急開腹し, 虫垂切除術を施行した. 術後5日目に40の発熱を認めたが, 創部皮下膿瘍の排膿により解熱した. しかし術後8日目から再び39℃台の弛張熱が出現した. 術後13日目の腹部CTで肝右葉S6-7に単発性肝膿瘍を認め, 経皮経肝的膿瘍ドレナージを施行した. 灰白色の膿汁が約300ml排出された. 膿瘍腔は次第に縮小し, 術後27日目にドレナージチューブを抜去した. その後も約2週間にわたり発熱が続いたが, 術後46日目に軽快退院した. 肝膿瘍穿刺内容の細菌培養検査でγ-streptococcussp.(以下, γレンサ球菌と略記) が検出された. 小児虫垂炎術後に発症した肝膿瘍の1例を報告した.虫垂炎手術後に高度炎症所見が持続する場合には, まれではあるが肝膿瘍も考慮すべき合併症のひとつであると思われた.

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