日本消化器外科学会雑誌
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膵癌治癒切除後の胆汁中CEA値による肝転移予知の可能性
森島 宏隆仲原 正明今分 茂黒住 和史城戸 哲夫中尾 量保辻本 正彦
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2002 年 35 巻 11 号 p. 1644-1648

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抄録

はじめに: 膵癌術後の胆汁中CEA値が肝転移再発の予測マーカーとなりうるか否かを検討した.方法: 膵癌治癒切除21例を対象とした. 肝転移群は13例 (6か月以内の早期肝転移群6例, 6か月以降の晩期肝転移群7例), 非肝転移群は8例であった. 術前, 術後の胆汁採取は胆管ドレナージチューブより行い, 胆汁中CEA値を測定した.結果: 病理組織学的諸因子と肝転移再発に相関を認めなかった. 術前胆汁中CEA値は, 肝転移群 (41±89ng/ml), 非肝転移群 (12±14ng/ml) で有意差を認めなかった. 術後胆汁中CEA値は, 肝転移群は295±432ng/mlで, 非肝転移群の67±62ng/mlより高値の傾向を示した. 早期肝転移群7例の術後胆汁中のCEA値は, 肝転移群は476±572ng/mlで, 非肝転移群に比べて有意に高値であった. また, 第14病日と, 第28病日の2回にわたって胆汁中CEA値を測定した13例の胆汁中CEA値の推移を検討すると, 早期肝転移群は, 術後経時的に胆汁中CEA値が増加した.結論: 胆汁中CEA値は膵癌術後早期の肝転移再発の予測マーカーとなりうることが示唆された.

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