症例は, 27歳の男性. 腸閉塞症状が出現し, 近医に入院. 骨盤内腫瘤を指摘されたが, 症状が軽快したため退院, 経過観察を行っていた. 腹部全体の痛みが出現するようになり, 当院受診となった. CTでは, 骨盤内に腫瘤が認められた. MRIでは, 骨盤内に膀胱を圧排する. 内部不均一で蜂の巣状を呈する約10cm大の腫瘤が認められた. 小腸X線造影検査では, 回腸に腫瘤による圧排所見が認められたが, 粘膜面に異常は認められなかった. 以上より, 小腸腸間膜腫瘍の診断で, 手術を施行した. 術中所見では, 直径約10cm大の表面凸凹, 弾性軟で, 易出血性の腫瘤が, 回腸末端から約180cmの腸間膜に認められ, 骨盤腔内にはまりこんでいた. 腫瘤に近接する小腸の合併切除にて腫瘤を摘出した. 病理組織学的には, 海綿状血管腫と診断された.
腸間膜原発血管腫の本邦報告例は, 自験例を含め21例で, 非常にまれな腫瘍である.