日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
回腸迷入膵の1切除例
森野 茂行重政 有羽田野 和彦碇 秀樹清水 輝久菅村 洋治國崎 忠臣米満 伸久
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 35 巻 11 号 p. 1693-1697

詳細
抄録

症例は23歳の女性. 平成13年7月4日より腹痛嘔吐が出現し7月7日当院を受診した. 触診上, 左下腹部に圧痛を伴った鶏卵大腫瘤を触知した. 腹部エコー, CT検査において左下腹部にターゲットサインを認め, また上部小腸の拡張を認めた. 小腸重積症の診断で高圧注腸を試みたが, 整復が困難であったため緊急手術を行った. 回腸末端部より90cm口側の回腸が約15cmにわたって重積を起こしており, 約40cmの回腸を切除した. 重積回腸先進部の粘膜面に径約3cmの腫瘍を認めた. 病理組織学的には, 粘膜下組織と筋層内に平滑筋組織と混在する導管構造を認め, 迷入膵Heinrich分類III型と診断した. 迷入膵は胃, 十二指腸, 空腸などの膵の近傍に好発する疾患で, 回腸に発生することは比較的まれである. 回腸迷入膵は腸重積を引き起こし発症することが多く, 高圧注腸による整復が困難で腸切除を余儀なくされることが多い. 発生部位は回腸末端部より100cmまでの下部回腸に好発する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top