日本消化器外科学会雑誌
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魚骨による虫垂穿通の1例
犬飼 道雄岡野 圭一唐澤 幸彦合田 文則若林 久男臼杵 尚志前場 隆志前田 肇
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2002 年 35 巻 8 号 p. 1418-1422

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抄録
症例は59歳の男性. 2日間持続する右下腹部痛で来院. ACTH単独欠損症でヒドロコルチゾンを内服していた. 来院時右下腹部に圧痛と反跳圧痛を認め, 白血球数7,100/μl, CRP 14.1mg/dlであった. 腹部超音波検査で内部に高エコー領域を伴う腫大した径10mmの虫垂を確認した. 急性虫垂炎と診断, 緊急手術を施行した. 虫垂の壁側腹膜への癒着と魚骨2cm長の穿通を認め, 虫垂切除術を施行した. 本邦の魚骨による消化管穿通は, 下部消化管に多く虫垂は少ない. 慢性炎症による膿瘍と腫瘍との鑑別は難しく, 広範切除となる症例もある. 腹部超音波検査やCT検査で虫垂内部に高エコー領域を認めた時は, 本疾患の可能性も考え術前鑑別診断が重要である.
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