日本消化器外科学会雑誌
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術前に診断しえた虫垂原発MALTリンパ腫の1例
田中 千恵野崎 英樹小林 裕幸清水 稔佐々 実穂
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2005 年 38 巻 12 号 p. 1835-1838

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抄録

症例は74歳の女性で, 平成13年11月検診で便潜血陽性を指摘された. 前医で下部消化管内視鏡検査を行い, 回盲部に粘膜下腫瘍を認めたが, 生検で悪性像を認めなかったため経過観察とされた. 平成14年5月下部内視鏡検査の生検でmucosa-associated lymphoid tissue (以下, MALTと略記) リンパ腫と診断され, 治療目的に当院紹介された. 採血上Hb 9.5g/dlと軽度低下を認めた. CT上回盲部に壁肥厚を認めた. 骨髄穿刺では異常を認めなかった. 以上より, 回盲部に限局するMALTリンパ腫の診断で平成14年7月回盲部切除術を施行した. 術後病理組織診断は虫垂原発のMALTリンパ腫であった. 腫瘍は漿膜面に露出していたが, リンパ節に転移は認めなかった. 術後経過観察しているが再発の徴候を認めない. まれな虫垂原発MALTリンパ腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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