日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌術後大動脈周囲リンパ節転移巣を切除した1例
赤本 伸太郎出石 邦彦谷内田 真一岡野 圭一合田 文則若林 久男臼杵 尚志前田 肇
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2006 年 39 巻 3 号 p. 312-316

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抄録
我々は肝細胞癌術後の大動脈孤立性リンパ節再発に対し, 切除を行い比較的良好な経過を得た症例を経験したので報告する. 症例は77歳の女性で, 平成13年に肝細胞癌にてS8部分切除術とリンパ節郭清(No.12, 13)を施行し, No.12に転移リンパ節を指摘されていた. 外来経過観察中に, 平成15年4月のCTで大動脈周囲リンパ節腫大を指摘され, 転移を疑われた. 他臓器に転移再発を認めず, 平成15年5月リンパ節摘出術を施行した. 病理では低分化型肝細胞癌の所見であった. 術後1年10か月のCTで多発肝転移を指摘されたが, 術後2年の現在生存中である. 肝細胞癌のリンパ節転移は剖検例で30%前後と決してまれではないが, 肝切除症例では1.6%と少ない. さらに, 孤立性リンパ節再発の報告は肝十二指腸間膜, 膵頭後部リンパ節再発では散見されるが, 大動脈周囲リンパ節再発の報告は非常にまれである.
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