日本消化器外科学会雑誌
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腹腔鏡下胆嚢摘出後に発症した特発性食道粘膜下血腫の1例
岩本 崇水島 恒和位藤 俊一水野 均保木 昌徳宮嵜 安晃小澤 秀登狩野 孝中森 康浩岩瀬 和裕
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2007 年 40 巻 5 号 p. 541-546

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抄録

特発性食道粘膜下血腫はまれな疾患であり, 過去本邦において44例が報告されているに過ぎない.腹腔鏡下胆嚢摘出後に発症した特発性食道粘膜下血腫を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は72歳の男性で, 胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢 摘出術を施行した.手術終了後の抜管時に胸痛を訴えた.肺塞栓症を疑い緊急CTを施行した.CTでは明らかな血栓は認めず, 食道, 胃内に液状成分の貯留を認めた.病棟へ帰室した後, 胃管を挿入して経過観察としたが, 約10分後に暗赤色の吐血を認めた.上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 下部食道後壁1/3周にわたり粘膜下血腫を認めた.絶食, プロトンポンプ阻害剤静注による保存的治療を行い, 良好な経過を得た.

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