日本消化器外科学会雑誌
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食道腺様嚢胞癌の1例
免疫組織化学的検討を加えて
石井 博道佐藤 弘坪佐 恭宏石木 寛人草深 公秀
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2007 年 40 巻 5 号 p. 547-552

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抄録
今回, 我々は食道腺様嚢胞癌の1例を経験し, 免疫組織学的検討を行った. 症例は51歳の男性で, 内視鏡検査で胸部中部食道にヨードで染色される陥凹性病変を認め, 生検にて食道腺様嚢胞癌 (cT2N0M0, Stage II) と診断され, 右開胸開腹食道亜全摘・2領域リンパ節郭清・胸骨後経路頸部食道胃管吻合術を施行した. 病理組織診断も純粋な食道腺様嚢胞癌 (pT3N0M0, Stage II) であった. 免疫組織化学的染色を施行しEMA, αSMA, Vimentin陽性であり唾液腺腺様嚢胞癌と同様の染色形態を示し, 腺様嚢胞癌と鑑別が難しいとされている類基底細胞癌との鑑別に有用であった. また, MIB-1 labeling indexは5%で唾液腺腺様嚢胞癌と同様の結果となり生物学的悪性度は高くないと考えられた. 純粋な食道腺様嚢胞癌に対して細胞増殖活性を検討した報告は本症例が本邦初である.
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