日本消化器外科学会雑誌
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肝原発malignant solitary fibrous tumorの1例
関 崇河野 弘三輪 知弘佐竹 立成
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2008 年 41 巻 5 号 p. 521-526

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抄録

症例は38歳の女性で, 腹痛を主訴に当院を受診した. 腹部CTで肝下面に直径約4cmの造影効果を示す腫瘍性病変および腹腔内全体に腹水貯留像を認めたため, 肝腫瘍破裂による腹腔内出血と診断し緊急開腹手術を施行した. 血性腹水を約1,500ml認めたがすでに止血されていた.また, 肝S6からぶら下がるように4.0×3.5×3.0cmの被膜に覆われた腫瘍を認めたが破裂しておらず, 腹腔内検索にて出血源として卵巣出血が疑われた. 腫瘍を含めた肝部分切除術を施行した. 病理組織学的検査にて孤立性線維性腫瘍 (solitary fibrous tumor; 以下, SFT) と診断された. 術後3か月で多発肝転移, 多発骨転移を来し術後11か月で原病死した. 肝臓原発のSFTは報告例26例と極めてまれである. また, SFTは良性のことが多いが, 自験例は悪性の転帰をたどったことでも貴重な症例と思われるので文献的考察を加え報告する.

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