日本消化器外科学会雑誌
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大網裂孔ヘルニアによる腸閉塞を来した成人腸回転異常症の1例
古元 克好水野 礼森 友彦伊東 大輔江下 恒統小切 匡史
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2008 年 41 巻 5 号 p. 553-557

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抄録

症例は42歳の女性で, 下腹部痛と嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した. 腹部膨満と下腹部圧痛, 反跳痛を認めた. 腹部CTで便を多量に含んだ結腸の著明な拡張が下腹部正中に見られ, ダグラス窩に中等量の腹水を認めた. 上腸間膜動脈が上腸間膜静脈の右側に位置しており, 腸回転異常がベースにあるイレウスが示唆された. 全身状態が安定しており保存的加療でいったん症状が軽快したので下部消化管内視鏡検査を行うと, 上行結腸と思われる部位に捻れたような狭窄を認め, 造影で上行結腸の狭窄であると確認された. 経口摂取に伴い症状が再燃したため開腹すると, 回腸末端から上行結腸が大網の裂け目に陥入しておりこれを解除した. Nonro-tationの腸回転異常症で, これに伴う腸管の配置異常と固定不全が原因の内ヘルニアと考えられ, 腸回転異常症患者のイレウスとして典型的なものではなく, 示唆に富む症例であった.

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