日本消化器外科学会雑誌
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多発性直腸微小カルチノイドと直腸癌を合併した潰瘍性大腸炎の1例
細木 久裕長山 聡川村 純一郎野村 明成伊丹 淳岡部 寛長谷川 傑佐藤 誠二渡辺 剛坂井 義治
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2008 年 41 巻 5 号 p. 558-563

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抄録

症例は54歳の男性で, 全大腸炎型の潰瘍性大腸炎 (ulcerative colitis; 以下, UC) を約30年間罹患していた. 2006年のサーベイランス大腸内視鏡検査にて直腸にdysplasia-associatedlesion or mass (DALM) を指摘され, 同部位より高分化型腺癌を認めたため, 1期的に腹腔鏡補助下大腸全摘術および回腸. 肛門吻合術を施行した. 切除標本の病理組織学的検査において直腸に多発性の微小カルチノイドを認めた. 文献上, UCに大腸カルチノイドを合併した報告26例のうち多くは全大腸炎型であり (88%), 平均罹患期間は13.4年で, 10症例ではさらに癌またはdysplasiaを合併していた. 長期罹患例で全大腸炎型のUCに癌やdysplasiaの発生が多いことは知られているが, UCに合併するカルチノイドの報告は少ない. 長期間の粘膜での慢性炎症を背景に微小カルチノイドが発生する可能性も示唆され, 文献的考察を加えて報告する.

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