日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
肝壊死における上部消化管血行動態変動
真辺 忠夫鈴木 敞本庄 一夫
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 9 巻 4 号 p. 431-436

詳細
抄録

肝壊死に合併する上部消化管障害の成因を血行動態面より解明すべく家兎を用い肝20%葉の結紮壊死を作成し, 上部消化管各部各層の血流量をradioactive microsphere法により測定した. 肝壊死作成24時間後, 約24%の家兎胃粘膜には糜爛ないし潰瘍がみとめられ, 食道, 胃体部, 前庭部, 十二指腸各部粘膜は著明な血流減少を来した. この血流減少傾向は, 肝壊死除去6日後も同様にみとめられ, 同12日後なお, 食道, 前庭部, 十二指腸の血流は低下していた. さらにこれらの血流減少傾向は正常家兎において脱血後, 肝壊死家兎血を輸血した場合にもみとめられ, 肝壊死時の上部消化管障害の発症原因として, 壊死肝より血中に逸脱する物質による上部消化管粘膜の著明な血流低下が示唆された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top