日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
食道癌における淋巴節転移とくに上縦隔転移とその治療対策
木下 巌大橋 一郎中川 健梶谷 鐶金田 浩一津屋 旭
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 9 巻 4 号 p. 424-430

詳細
抄録

われわれの施設で取扱つた食道癌例を対象として, 食道癌の淋巴節転移とくに上縦隔転移とその治療対策について検討した. 5年生存率では耐術治癒, 準治癒例で28%を示したが, Iuの成績が不良であつた. 5年生存例43例の中n+例は26例あるが, いずれも局所か下縦隔か腹腔転移例で上縦隔転移はわずか2例のみであつた. 上縦隔転移の実態をつかむため, 縦隔鏡による傍気管転移の検索と手術例における上縦隔最上部淋巴節転移の検索とから上縦隔最上部淋巴節転移の有無が予後に密接な関係をもつことを知つた. 従来術後照射の適応に関し判然としなかつたが, この結果に基づいて上縦隔最上部淋巴節を規準に決め, 当所のn+例に上縦隔と両側鎖骨上窩を含めたT字型照射を行い, 小数例ではあるが好結果を得ている.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top