日本消化器外科学会雑誌
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胃切除後の乳糖代謝と乳糖分解酵素の影響
樺木野 修郎栗林 信介重藤 紘松本 秀章脇坂 順一
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1976 年 9 巻 4 号 p. 450-455

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抄録

成人における乳糖不耐症あるいは牛乳不耐症に注目し, 私どもは今日まで最大血糖上昇度Clinitestによつて, 胃切除前後の乳糖吸収状態を吟味してきたが, 今度は胃切除後の乳糖吸収を14C-lactoseにより呼気中のCO2を測定するとともに, 小腸におけるLactase活性値を十二指腸ならびに空腸で測定した.
胃切除後には術前に比較して乳糖不耐症例の頻度が増加し, また, 臨床的にも下痢・腹痛を訴えるものが多いが, 日本人における小腸のLactase活性値は欧米人に比べて非常に低値であり, また, 胃切除後の再建方法によつても乳糖吸収に差異を生じた, しかし不耐症状の有無にかかわらず, Lactase剤投与は乳糖吸収に充分なる効果があることを報告するとともに, 小腸におけるLactase活性値が低くとも, 下痢などの不耐症状のない人もあることを述べた.

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