抄録
合成着色料の人培養細胞における細胞遺伝学的影響を正常健康人リンパ球及び胎児細胞を用いて検討した。実験に用いた10種類の色素の中で phloxine は染色体異常を誘起し, その異常の大部分は gaps や breaks からなる染色分体型の異常であった。また phloxine の添加濃度に応じ染色体異常が増加する傾向がみられた。しかしながら他の9種類の色素は本実験条件下ではコントロールとの間に有意差が認められなかった。DNA合成への影響についてはキサンチン色素に属する種類の色素 erythrosine phloxine, rose bengale はDNA合成に強い阻害を示した。一方アゾ色素5種類含む他の7種類の色素ではその阻害は弱いかまたは全く認められなかった。