本稿は、医療資源の効率的配分のために組織間連携が重要であるという視点から以下の議論を展開した。(1)医師・患者間、および医療機関相互に認められる4タイプの情報の不完全性が医療資源の効率的な配分を失敗させる大きな要素であることを指摘。(2)これらの情報の不完全性は医療サービスの取引が市場モードでおこなわれていることに起因することを指摘。(3)取引コストの経済学の視点から市場モードと計画モード双方のメリット・デメリットを考察し、医療サービスは、参加メンバーの自由度が高いという市場モードのメリットと、長期的取引による情報伝達効率が高いという計画モードのメリットを兼ね備えた中間モードで供給されることが重要であることを検討する。(4)この中間モードによる医療システム(ネットワーク)に移行させる政策手段のポイントとして、①規制よりインセンティブの方が効果的、②組織間、医師・患者間の情報連結の重要性を指摘した。