2001 年 10 巻 p. 5-20
医療費の伸びを抑制するために、さまざまな方策やシステムの導入が議論・検討されている。DRG/PPSのような包括払い方式が導入されれば、個々の病院は、限られた収入の範囲内で医療の質を確保しつつ診療・経営面の効率を向上させなければならない。そのなかでも、手術室の運営効率の実態を把握することは、病院全体の経営効率を把握する上で極めて重要である。本研究では、東京都内に立地する大学病院をフィールドに、1997年4月1日から1999年3月31日までの2年間に行われた手術を対象に、高い頻度で手術が行われた10疾患について手術室の稼働効率および手術頻度の高い症例についての費用の収支分析を行った。分析の結果、手術室の稼働率は77.49%、手術の平均原価比率は48.59%であった。本研究で用いた原価分析の手法は、原価を低めに評価する傾向にあるが、病院の経営管理上、実用に耐えうるものと考えている。