医療経済研究
Online ISSN : 2759-4017
Print ISSN : 1340-895X
研究報告
欧州におけるDRGの展開過程
-フランスを中心に-
松田 晋哉
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ジャーナル オープンアクセス

2001 年 10 巻 p. 21-51

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抄録

増大する医療費をいかにコントロールするかは先進国共通の課題となっている。経済的条件と医療サービスの内容との整合性を図りながら、医療サービスの質と効率の向上を実現するためには、経済的側面と医療技術的側面の両方を測定できる指標が必要であり、そのような指標に基づいた関係者間の合理的な検討が求められる。アメリカにおいて開発されたDRGはこのような目的にあう評価指標の一つであり、今ではアメリカのみならず他の先進諸国においてもさまざまな形で利用されている。わが国においてもDRG方式導入の試行調査が平成11年11月より開始され、平成13年4月から民間病院も加えた新しい段階に入っている。病院管理指標としてのDRGの有用性は確立されているが、それをどのような形で用いるかについては、各国の医療システムの特質を十分考慮する必要がある。本論文では実地調査を含む2年間の医療経済研究機構における研究結果に基づき、欧州、特にフランスにおけるDRGの展開過程を検討し、DRGの有用性とその一般化のための条件を整理することを試みた。その結果、社会保険制度を採用している日本の場合、アメリカのようなマネージドケアと組み合わせたDRG/PPSではなく、ヨーロッパ諸国、特にフランスのようにDRGを広義の病院管理指標として予算制と組み合わせて導入するという選択が、第一段階としては適切であると著者らは結論した。

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