医療経済研究
Online ISSN : 2759-4017
Print ISSN : 1340-895X
論文
革新的医薬品に対する薬価算定方式としての原価計算方式の妥当性に関する経済分析
中村 洋
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 11 巻 p. 43-62

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抄録

類似の既存薬がない革新的な新薬の薬価決定に適用される原価計算方式は、革新的な医薬品の研究開発を指向する製薬企業のみならず今後成長が期待される関連産業に影響を及ぼす。この研究では、その原価計算方式に焦点を当て、原価把握についての問題点とその影響、製薬産業における医薬品の研究開発インセンティブと市販後調査、医薬品普及の企業活動に与える影響を分析する。そして、革新的医薬品に対する薬価算定方式としての原価計算方式の妥当性に関して検討する。分析の結果、製薬企業の平均的な一意の係数値を計算・予想して原価計算を行う方法には、金業間の違いにより革新的な医薬品の研究開発能力を持つ製薬企業像を適切に反映できないことなど、根本的に解決できない複数の問題が存在することが明らかになった。この研究で新たに指摘される問題は、係数値の単なる見直しだけでは、革新的な新薬の薬価算定方法の抜本的な改善にはつながらないことを明らかにした。

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