2002 年 12 巻 p. 65-85
介護保険制度において、療養型病床群(療養病床)は「施設介護サービス」の1つとして位置づけられ、各医療機関は、病棟単位で「医療保険適用」か「介護保険適用」かを選択することになった。療養型病床群をとりまく環境は大きく変化し、各施設の有する機能や提供するサービス内容の分化も今後、予想されるところである。
本調査では、まず、対象病院における2種類の療養型病床群の位置付けや今後の方向性を確認した。次に、医療保険適用患者と介護保険適用患者とでは、全体的な状態や介護ニーズが異なってきていることや在院期間や入退院の状況に相違がみられることも明らかになった。一方で、医療療養型と介護療養型の施設特性や施設が有する医療機能・サービスの分化は本調査からでは十分にはみてとれなかった。
本調査により、適切な処遇場所の選択についての示唆なども得られ、療養型病床群と他の施設サービス、在宅サービス等との機能分担のあり方を含め、今後のわが国の長期療養のあり方を検討する際に役立つものと考える。