2002年4月、外来患者の薬剤投与期間に係る規制が原則廃止され、一部の医薬品を除き長期投薬が可能になった。本研究では、投薬日数長期化の影響について病院と診療所の現状を明らかにし、今後の外来投薬のあり方を考究することを目的とした。
約60%の診療所および67%の病院で投薬日数の長期化は進んでいた。長期化の理由は「症状の安定」と「患者の希望」がほぼ措抗していた。投薬日数を長期化した診療所院長の約50%および病院医師の約40%は、長期化による問題を認識しており、具体的項目として受診の不規則化、コンプライアンスや検査値の悪化などを指摘した。また、投薬日数の長期化は診療所(病院)経営へも影響を与えており、長期化した診療所は長期化していない診療所に比べて、経営への影響をより強く受けている傾向が示唆された。望ましい外来投薬を確立するために考慮すべき項目として、患者の病状や服薬管理能力、受診の必要性、医薬品の品質確保などが指摘された。長期投与の解禁は、薬物治療の質及び医療機関経営に影響を与えていることが明らかになった。