1995 年 2 巻 p. 27-32
情報システムの発達に伴い、診療の現場の医師に、診療行為を行おうとする瞬間に様々な情報を提供することができるようになった。
東大病院では、検査を行う医師に対し検査依頼項目が不必要に多い時は警告を発するシステムを作成したところ、検査依頼の数が著しく減少した。このシステムから警告を受けた医師の意見を求めたところ、医療上の悪影響があるとした医師は少数で、教育的効果を認めた医師が多かった。このことは、納得の上でより少ない検査数を採択したことになり、医療上の合理性を保ちつつ、経済的にもより合理的な医療が行われたと考えられる。
このシステムはー病院内のシステムであるが、これと同じようなシステムが全国的に普及したと仮定すると、その医療経済に与える影響は大きい。そのためには、日本の医療関係者が合意した標準的な医療方式が必要である。