医療経済研究
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Print ISSN : 1340-895X
特別寄稿
日本におけるヘルスデータベース利用の現状と関連法制度
山本 隆一
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 29 巻 2 号 p. 107-119

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抄録

我が国は医療の現場へのIT機器の導入は先進的であったが、データの利活用は諸外国に比べて遅れていた。しかし、2006年の政府のIT新改革戦略移行、データベースの整備は急速に進みつつある。2005年に個人情報保護法が施行され、ヘルスデータの扱いと患者等のプライバシー保護に一定の方向性が示されたことも加速化の要因ではあったが、ITの進歩は早く、それに伴い、いわゆるビッグデータ利用への要求も高まっている。もちろんエビデンスに基づく医療や政策決定は重要であり、公益的利用は促進されるべきであるが、一方でプライバシー侵害に対する懸念も高まっている。このような背景の元、2016年に個人情報保護法が改正され、2017年5月末に実施された。プライバシー保護は強化されたが、一方でデータの二次利用の制限が強くなり、公益利用を促進するために次世代医療基盤法が制定された。このような現状を紹介するとともに、今後の課題について論じたい。

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© 2017 本論文著者

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