老人保健法による健康診査の受診率に対する影響因子を明らかにすることを目的として、全国のすべての市区町村を対象に郵送による実態調査を実施した。その結果、健康診査の受診率は以下の要因のある自治体で高いことが明らかになった。すなわち、人口当り保健婦数が多いこと、個人通知や地区組織の活用により健康診査の通知・広報活動を実施すること、受診券や問診票を事前に送付すること、土曜日や早朝・夜間に受診機会を拡大すること、健康診査後に個別面接指導を行うこと、健康診査の結果を他の保健事業に活用すること、健康診査に対する市区町村の負担額(対象者1人当り)が高いことなどである。今後、これらの対策の実施により健康診査の受診率向上に向けた取組みの強化が求められるとともに、受診率向上に要する経費とそれによる医療費減少効果との関連に対する定量的な費用効果分析による評価が行われなければならない。