1999 年 6 巻 p. 77-95
田中をチーフとする医療経済研究機構内の研究ティームは、一国全体の医療費について共通の分析概念を開発し、これを「国内総医療支出(Total Domestic Health Expenditures)」(TDHE)と名づけた。TDHEは、厚生省が調査・発表する国民医療費にあたる部分だけではなく、さまざまな医療関連サービス支出、第三者支払機関(保険者+政府の該当部門など)の運営費、および医療機関等に対する公的補助金を含んでおり、いわば「社会が医療のために国内で支出した総金額」と表せる。われわれは4年にわたって調査を継続すると共に、分析技法を発展させ、また国際比較にも取り組んた。共通の推計手順を経て求めたTDHE対GDP比の国際比較(1995)については、日本6.5%、アメリカ12.3%、ドイツ9.5%という数値が導かれた。