近年の医療保障政策は、患者負担を増大させる政策をとっている。しかし、自己負担が患者の受療行動に与える影響について、わが国ではあまり検討されていない。本研究では、外来医療の利用における自己負担割合の影響について検討した。
方法は、東京都在住の成人男子約700名を対象に調査を行い、外来医療の利用の有無と利用回数を、「1割負担群」と「3割負担群」で比較した。さらに、利用の有無・利用回数と収入との関係についても検討した。結果は以下に示す通りである。
1. 1年間に外来医療を一度でも利用した割合が高かったのは、負担の軽い「1割負担群」であった。
2. 1年間の利用回数では、2群間で差がみられなかった。
3. 利用の有無・利用回数と収入の相関関係については、負担割合による違いはみられなかった。
以上により、自己負担割合が外来医療の利用に与えている影響として、自己負担割合が直接関与する可能性と、交絡要因である可能性の両面から議論した。
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