2001 年 9 巻 p. 53-81
本研究の目的は内科系医療技術を経済的に評価するための手法として、医師に対するアンケー卜調査によって得た個々の医療サービスの負担感(=総合負荷)とサービス提供に要した時間(=直接時間)を用いることが適当であるかどうかを検証することにある。分析結果は以下の通りである。
1)回答者の専門性の違いや経験年数の違いが回答結果に与える影響は小さい。
2)総合負荷と直接時間の相関は総じて高い。
3)専門家による「外挿法」の結果は、アンケー卜調査結果とほぼ同じ評価値を示した。
このことより、本評価手法の有効性は高いと考えられる。また、分析によって以下の内容が明らかになった。
1)時間当りの総合負荷の値は、診断、治療方針決定、生体検査判定、処方などの分析的要素の比重の高い医療技術の方が処置、検査実施などより大きい。
2)同じ医療技術でも対象とする患者の特性や疾病特性により「総合負荷」や「直接時間」が異なる。
3)現行の報酬体系は過剰に評価されている技術と過小に評価されている技術とが混在している。