2006 年 58 巻 6 号 p. 572-587
韓国の近代地理学は,大韓地理学会が創立された1945年に始まったといえよう。その後の60年余りの歴史は決して長くはないけれども,韓国地理学は今日まで量的・質的に大きく成長してきた。韓国地理学のこうした発展によって,2000年には国際地理学会を誘致できたが,この大会は国際地理学の世界大会の歴史上最も優れたもののひとつであると評価されている。韓国地理学は1960年代以前,1970年代,1980年代,1990年代,2000年代の5つに分けて捉えられる。各時期はそれぞれ独自の特徴があるけれども,とりわけ2000年以後には急激な成長がみられる。韓国の社会は都市化,産業化,経済成長と,そして最近の文化的需要の増加などを経験しながら激しい空間的変化と問題とを抱えるようになったが,韓国の人文地理学は,このような国土の現実と問題点を分析して解決策を模索してきた。韓国人文地理学は学問的理論から政策に至るまでの幅広い研究成果を提出し,社会的にも学問的にも韓国社会に大きな役割を果たしている。
この研究は,韓国人文地理学の発展過程を時期別に分けて概観し,最近の研究傾向を明らかにするとともに,最後に将来的展望を導こうとした。これらの目的のために,特に2000年以後の大韓地理学会誌に掲載された論文及び各大学地理関連の博士学位論文と,それから韓国地理学の発展過程に関する論文とを中心に検討した。