2006 年 58 巻 6 号 p. 557-571
台湾の地理学者は,5つの地理学科とさまざまの社会科学および教育関係の諸学科に所属している。地理学者の数は少ないけれども,その研究業績は中国語による主要な5雑誌と英語圏のいくつかの国際的雑誌によく示されている。この論文では,上記の諸学科の発展を要約する他に,主要な大学に所属する地理学者の専門領域を紹介し,1996年から2005年までの研究業績を検討した。そして,人文地理学の発展を分析するために,計量文献学的なアプローチを用いた。この分析に関しては,人文地理学会の主題分類法を使用した。
地理学的研究は英語圏の諸国,ことに台湾の地理学者の多くが学位を得たアメリカ合衆国やカナダのプラグマチックな研究動向の後を追うと同時に,台湾の社会変化を反映したものであった。地理学者は,人文地理学の新たなパラダイムに導かれながら,1990年代になると他の社会科学者と共同するようになり,その結果,研究者の関心はとりわけ経済,都市,社会,そして人口地理学などの異質の分野に分散することになった。実証的研究が多くを占めているけれども,研究された全てのテーマで社会的適切さが示された。人文地理学の将来の発展は,一層の学際的協力,海外の研究者との共同,そして伝統的な研究テーマと方法論を打破する若手研究者の実践にかかっている。