2006 年 32 巻 4 号 p. 423-428
上顎癌に対する新しい皮切法としてextended lateral rhinotomy + hemicoronal flap法を考案した。従来より頻用されるWeber-Fergusson皮切法と比較し,1)顔面皮膚瘻孔や下眼瞼外反をきたす頻度の低下が期待できる。2)側頭下窩への展開が有利で,翼状突起基部の離断を明視下に安全に行うことができる。3)同一術野内で眼窩下壁再建に側頭部をドナーとする組織弁や頭蓋骨外板を利用できる。本法は,従来の経顔面アプローチとhemifacial dismasking flapの側方からのアプローチの利点を組み合わせた方法であり,手技的にも簡便で,整容的および術野展開に対して優れたアプローチ法の1つであると考える。