抄録
HPV関連中咽頭癌の多くはp16が過剰発現していることから,p16がHPV感染のsurrogate markerであると考えられている。しかし,p16発現の判定基準は統一されておらず,HPV感染以外の機序でもp16が過剰発現することもある。今回われわれは中咽頭扁平上皮癌91例に対してHPV感染とp16の発現について検討した。91例中HPV陽性であったのは29例(32%)で,p16陽性であったのは31例(34%)であった。HPV陽性であった29例中24例(83%)がp16陽性で,HPV陰性であった62例中7例(11%)がp16陽性であった。3年粗生存率はp16陽性例が82.2%,p16陰性例が65.1%でp16陽性例の方が有意に生存率は良好であったが,HPV陰性p16陽性例の予後はHPV陰性p16陰性例と同様に不良であった。以上のことからp16の発現がHPV感染の完全なsurrogate markerとはなり難いと考えられた。