2014 年 40 巻 1 号 p. 28-33
2002年4月から2013年3月の間,悪性腫瘍の上下顎骨切除および合併症症例は33例であった。これらに対する再建法の内訳については,腓骨による顎骨再建症例が19例,再建用チタンプレートによる下顎骨再建症例が8例,硬性再建なしが6例であった。腓骨再建症例19例中7例が義歯を使用していた。その内1例は食事の際に義歯は外し,残りの6例は義歯を使用していた。しかし健側と患側の両方で咬んでいる症例は1例のみであった。インプラント義歯は上顎歯槽部再建例1例と下顎骨再建例2例で施行された。患者インタビューから,インプラント義歯は咀嚼機能の向上に寄与するものと思われた。歯科用骨内インプラントとそれに装着するインプラント義歯の保険適用によって,今後インプラントは広く普及すると考えられる。その有効性について,咀嚼機能のみならず,口腔機能全体の向上や審美面および心理的影響について,多面的な観点からエビデンスを示していく必要がある。