2014 年 40 巻 1 号 p. 34-37
目的:蝶形洞腫瘍を臨床的に検討する。
対象と方法:国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センターでの蝶形洞腫瘍として紹介あるいは診断された15例につき外来・入院診療録をretrospectiveに検討した。
結果:当院受診の鼻腔・副鼻腔悪性腫瘍の4%を占めた。疼痛は最も多い受診動機だが,疼痛以外の脳神経症状も同程度に自覚されていた。病理組織像は多彩であった。腫瘍容積中央値43cm3,全例頭蓋内浸潤を認めていた。全例に放射線療法が行われ手術施行例はなかった。生存期間中央値28ヶ月(3~82ヶ月),3年無病生存率38%,3年疾患特異的生存率68%であった。2例の重篤な合併症が生じていた。
結論:個々の症例に適した放射線療法の手技と化学療法の使い分け・見極めは,生存期間の確保に貢献すると考えられた。