2014 年 40 巻 1 号 p. 38-42
シスプラチン(CDDP)を含む化学療法を行った口腔癌患者に生じた低ナトリウム血症の臨床像について検討した。対象は2007年4月から2012年10月までに東海大学医学部付属病院口腔外科にて,CDDPを含むレジメンの化学療法および化学放射線療法を施行した口腔癌65例である。初回投与時の低ナトリウム血症は53.8%にみられ,grade3以上は16.9%と比較的高頻度であった。低ナトリウム血症の危険因子としては,grade2以上の嘔気,口内炎,および水分負荷の有無,発熱性好中球減少症が考えられた。ナトリウムの摂取低下,喪失,水分負荷の有無が低ナトリウム血症の誘因になると考えられた。また,詳細なメカニズムは明らかではないが,発熱性好中球減少症は低ナトリウム血症発現のマーカーとなりうる可能性が示唆された。