2014 年 40 巻 1 号 p. 51-55
当科ではこれまで局所進行喉頭癌に対して原則的に喉頭全摘術(TL)を施行してきており,その治療成績を検討した。対象症例は36例で,30例にTL,手術拒否例などの6例に放射線治療(RT)を施行した(4例が化学療法同時併用)。再発はTL群で5例あり全例が頸部再発,そのうち1例のみ救済可能であった。RT群では1例に遠隔再発,1例がRT後のN残存であったが手術拒否にて原病死となった。T3でのRT施行は2例のみでともに無再発生存であった。全症例の3年疾患特異的生存率は83.0%,亜部位別では声門81.8%,声門上88.9%,声門下75.0%であった。T別では,T3 13例,T4a 23例で,3生率はそれぞれ100%,73.0%であった。N別では,N- 24例,N+ 12例で,3生率はそれぞれ91.7%,64.2%であった。今回の検討の結果,治療成績は良好であるものの,大半の症例でTLが施行されていたために3年喉頭温存率はT3 20.5%,T4a 8.7%と低く,喉頭温存治療への取り組みが今後の課題と考えられた。