2014 年 40 巻 1 号 p. 98-101
今回われわれは,1972年3月から2012年12月までに当科にて一次治療を行った甲状腺未分化癌症例13例の臨床的検討を行った。転帰は全例原病死であり,初回治療からの生存期間は1~15ヶ月(平均5.3ヶ月)であった。T関連死12例,M死1例であり,局所制御率は8%,遠隔転移率は88%であった。遠隔転移の約8割は肺転移であった。予後予測に有用とされるPrognostic Index別の生存期間に有意差はみられなかった。根治手術群は非根治手術群よりも有意差はないが生存期間が延長する傾向にあった。
初診時の局所の進行度,遠隔転移の有無により,局所制御のための集学的治療を検討する必要があるが,短期間で制御不能な状態となるため,在宅療養を視野に入れた緩和医療も,治療の選択肢の一つとして考慮する必要があると考えられた。