抄録
当院の進行期(Stage III/IV)喉頭癌に対する治療方針はT3以下であれば化学放射線療法を,T4であれば手術(喉頭全摘術)を基本としているが,喉頭温存手術も選択肢として検討している。一方,進行期下咽頭癌ではT2以下であれば化学放射線療法を行い,リンパ節残存または再発に対して救済手術もしくはリンパ節転移が3cmを超える場合には頸部郭清先行の化学放射線療法も選択肢として考慮している。局所進行(T3,T4)では喉頭全摘を含む根治手術を勧めるが,喉頭温存の希望が強い場合には化学放射線療法を検討している。また,根治切除後の術後治療は節外浸潤,断端陽性の場合には化学放射線療法,節外浸潤がないがリンパ節転移が多い(N2b以上)場合には放射線単独治療を行うことを原則としている。本報告では進行期喉頭癌および下咽頭癌の当院での治療方針に基づく治療選択の結果と治療成績を示し,喉頭温存を目指した進行期喉頭癌および下咽頭癌の治療戦略について検討する。