行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
慢性痛の行動療法(<特集>痛みの行動療法(II))
園田 順一高山 巌
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1983 年 9 巻 1 号 p. 10-15

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抄録
慢性痛をもつ3名の患者に対する行動論的接近について述べた。彼らの慢性痛はオペラント条件づけによって獲得され,維持されていた。すなわち,親や医療スタッフの注目や薬物が彼らの痛み行動を強化していた。ここに3ケースを提示したい。症例1は28歳の独身男性で,彼は気管支喘息と全身の痛みのために紹介されてきた。その痛みを軽減するために,入院の上,消去法(注目と薬物の除去)が導入された。彼の慢性痛は3ヵ月で消失した。症例2は17歳の女子高校生で,彼女は両腕の麻癖と右半身の慢性痛を訴えていた。医学的検査では,器質的原因は見出されなかった。そこで外来通院で,30セッションにわたり,催眠法が行なわれたところ,両方とも完全に消失した。症例3は13歳の男子中学生で,彼は心因性の咳で登校を渋っていた。そこで,その咳に対して嫌悪療法が施行された。2セッションで,その咳は消失したが,そめ代りに,腹痛が出現した。彼の母親はその痛みを和げるために,腹部をさすったり,薬を与えたりしていたので,その痛みに対しては無視し,強制的に登校させるように求められた。彼は次第に腹痛の訴えが少なくなっていき,登校も増えていった。
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© 1983 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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