抄録
頭頸部癌に対する切除不能病変の画像評価は,治療方針決定と治療予後に大きく影響を及ぼすため,臨床的意義が高く極めて重要である。切除不能因子には,原発病変によるT4b因子と,節外進展を伴う転移性リンパ節病変による切除不能因子があるが,画像診断医はそれらを慎重にかつ正確に評価する必要がある。原発病変および転移性リンパ節病変において最も頻度の高く重要な切除不能因子は,頸動脈浸潤,椎前筋膜浸潤および原発病変による上咽頭進展である。CTは高い時間・空間分解能を有し,MRIは高い濃度分解能を有する。切除可否に関して可能な限り正確な判断を行うためには,CTおよびMRIの各シーケンスにおいて,最適なモダリティや撮像法の選択,重要な画像所見の知識が必要となり,適切な治療方針の決定に寄与すると考えられる。