頭頸部癌
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第7回教育セミナー
喉頭癌に対する経口的切除術
冨藤 雅之
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2016 年 42 巻 3 号 p. 316-321

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抄録

喉頭癌に対する経口的切除は低侵襲で治療期間も短いという特徴があり,喉頭温存治療の一つとして有用性がある。声門癌においては顕微鏡下のレーザー手術が主に行われており,European Laryngological Society(ELS)分類に沿った切除範囲の分類が有用である。レーザー手術の成績としては放射線治療とほぼ同等の成績が報告されており,音声の面からも特にType I,Type IIといった限局した切除範囲であれば良好である。一方広範囲の切除においては嗄声が目立つこともあり,他の治療法も含めたインフォームドコンセントが必要である。
声門上部癌においては拡張型喉頭鏡や内視鏡の使用により,広い視野と広い操作範囲を得ることが可能である。海外でもロボット手術の応用なども行われている領域であり,今後の治療手技の発展が期待される。声門上部切除においては嚥下機能障害の可能性があるが,喉頭蓋の全摘や化学放射線治療後のサルベージ症例,下咽頭,食道癌の合併例においては注意が必要である。

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© 2016 日本頭頸部癌学会
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