頭頸部癌
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上顎(鼻副鼻腔)
当科におけるTS-1を用いた上顎洞癌三者併用療法の治療成績
藤村 真太郎庄司 和彦堀 龍介児嶋 剛岡上 雄介奥山 英晃北野 正之
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キーワード: 上顎洞癌, 三者併用療法, TS-1
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2016 年 42 巻 3 号 p. 322-326

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抄録

2003年10月~2014年7月に当科でTS-1を用いた三者併用療法による治療を行った上顎洞扁平上皮癌14例について疾患特異的生存率と局所制御率,有害事象を検討した。症例の内訳はT1:1例,T2:2例,T3:5例,T4:6例で,頸部リンパ節転移はN2b:1例のみ,遠隔転移を認めた症例は無かった。治療プロトコールは2005年以後改良を加えているが,いずれも基準量よりも一段階減量したTS-1内服を3~4週併用し総線量50Gy/25frの放射線照射と手術を組み合わせている。最終転帰は原病死が4例(28.6%),担癌生存例は無く,非担癌生存が10例(71.4%)であった。全体の3年疾患特異的生存率は84.7%,5年疾患特異的生存率は75.2%,3年局所制御率は76.9%,5年局所制御率65.9%であり十分な治療成績が得られていると考えている。有害事象は放射線性粘膜炎が目立ったが,重篤な血液毒性は認めておらず,TS-1の投与量を基準量に増やすことも今後検討したい。

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© 2016 日本頭頸部癌学会
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