2016 年 42 巻 3 号 p. 327-333
選択的動注化学放射線治療(以下RADPLAT)を行ったT4上顎洞扁平上皮癌37例の検討を行った。RADPLATに対して反応不良群(11例)は手術(上顎亜全摘,あるいは全摘)を行い術後補助療法として放射線単独治療を行った。反応良好群(26例)はRADPLATを継続した。5年T別局所制御率は,T4a(33例):60.0%,T4b(4例):66.7%,粗生存率はT4a:51.0%,T4b:25.0%であった。5年治療別局所制御率は手術群:72.7%,RADPLAT群:53.6%,粗生存率は手術群:63.6%,RADPLAT群:41.3%であり,統計学的有意差は認めなかったが手術群で良好な傾向があった。Gr3以上有害事象は0~21.6%に認めたが治療を中断する事象はなかった。局所再発12例中4例に救済手術を行い1例で救済が可能であった。T4症例の局所再発に対する救済は困難であり,いかにして局所制御を向上させるか,また治療後の残存,再発への対策をいかに行うかが今後の課題である。