頭頸部癌
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舌扁平上皮癌T2N0症例の予防的頸部郭清に関する検討
奥山 英晃庄司 和彦堀 龍介児嶋 剛岡上 雄介藤村 真太郎北野 正之
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2016 年 42 巻 3 号 p. 334-338

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抄録

早期舌癌の予防的頸部郭清術の是非は施設により見解が分かれるが,当科では舌癌T2N0症例には予防的頸部郭清術は行わず舌部分切除のみとしてきた。2004年~2014年までに部切術を施行したT2N0症例26例を対象に局所再発・後発頸部リンパ節転移と腫瘍の厚みとの関連につき検討した。5年生存率は86.5%であった。局所再発を2例(7.7%),後発頸部リンパ節転移を11例(42.3%)に認めた。リンパ節転移例10例で頸部郭清術を施行し,いずれも頸部制御できたが後に肺転移で2例が死亡した。転移部位はlevel Iが5/10例(50.0%),level IIが8/10例(80.0%),level IIIが3/10例(30.0%),level IV・Vは0例で,潜在転移部位は全例患側SONDの範囲内であった。原発巣の厚みによる後発頸部リンパ節転移は2mm以下の症例では0/6例,4mm以上の症例では10/14例(71.4%)と高率に転移を認めた。転移を認めた11例では厚みが6.7±3.1mmで,転移のない15例の2.9±3.2mmに比べて厚かった。厚みが4mm以上の症例では予防的頸部郭清術を積極的に検討すべきと考えられた。

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© 2016 日本頭頸部癌学会
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