頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
Print ISSN : 1349-5747
ISSN-L : 1349-5747
特別企画
肉腫を除く頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線治療の多施設共同後向き観察研究(J-CROS 1402 HN)
小藤 昌志出水 祐介齋藤 淳一末藤 大明辻 比呂志沖本 智昭大野 達也塩山 善之伊川 裕明根本 建二中野 隆史鎌田 正
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 43 巻 3 号 p. 362-366

詳細
抄録
Japan Carbon-ion Radiation Oncology Study Group(J-CROS)で行われた肉腫を除く頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線治療の多施設共同後向き観察研究の結果を報告する。2003年11月から2014年12月までに国内の重粒子線治療施設4施設で高度先進医療,先進医療として重粒子線治療を受けたN0-1M0症例を対象とした。908例が登録された。初回治療症例が774例,再発症例が134例。病理組織は悪性黒色腫387例(42.6%),腺様嚢胞癌289例(31.8%),扁平上皮癌63例(6.9%),腺癌47例(5.2%),その他122例(13.4%)。原発部位は鼻副鼻腔458例(50.4%),脈絡膜119例(13.1%),口腔83例(9.1%),大唾液腺69例(7.6%),眼窩48例(5.3%),上咽頭46例(5.1%),その他85例(9.4%)。T分類はT1:28例(3.1%),T2:59例(6.5%),T3:295例(32.5%),T4:509例(56.1%),分類なし:17例(1.8%)。経過観察期間中央値は28ヶ月。全例の3年,5年局所制御率は81%,74%,3年,5年全生存率は76%,64%であった。Grade 4以上の晩期有害事象は4.4%に見られた。重粒子線治療は頭頸部領域の局所進行癌,特に非扁平上皮癌などX線抵抗性腫瘍に対して有望な治療法となり得る。
著者関連情報
© 2017 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top