抄録
遊離組織による頭頸部再建術は,創部治癒,形態保持,機能温存において有用である。当科では遊離組織の採取と再建も頭頸部外科医が行っており,104例(106皮弁)におけるマイクロサージャリーを検討した。口腔と下咽頭の再建が多く,再建材料は前外側大腿皮弁(ALT)が約半数と最多であった。移植床の血管は上甲状腺動脈と内頸静脈が大半で選択されていた。術中の遊離組織トラブルは14例(13%)で生じ,8例が動脈吻合部血栓であった。術後の遊離組織トラブルは6例(6%)で生じ,4例(4%)で皮弁を除去していた。術後に吻合部血栓はなかったがALTの穿通枝トラブルが4例と多かった。術中トラブルは二次治療に多い傾向があり(P=0.059),術後トラブルは術後感染と関連していた(P=0.016)。過去の報告と比較しても劣らない成績であったが,特にALTの穿通枝の扱いに関して改善の余地を認めた。