頭頸部腫瘍
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がん告知が頭頸部がん患者のQOLに及ぼす影響
久保田 彰古川 まどか福島 啓文山下 浩介杉山 正人西海 智子矢野間 俊介加賀田 博子谷垣 裕二
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1998 年 24 巻 1 号 p. 56-60

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抄録

がん告知が患者の人間関係, 心理状態, 生活状態, 身体状況のQOL4指標にどの様な影響を及ぼすかを検討するために, 未治療頭頸部がん患者の75例を対象に入院から退院まで2週おきにQOL調査 (FLIC) を行った。
人間関係 (P=0.04), 心理状態 (P=0.003), 生活状態 (P=0.0001) は退院までに有意に改善した。さらに告知は患者の人間関係 (P=0.03) や, 心理状態 (P=0.03) を有意に改善することが判明した。
人間関係, 心理状態に及ぼす告知の有無や他の諸因子の影響度を重回帰分析により解析した。その結果告知 (P=0.008) と手術 (P=0.040) が人間関係を有意に改善する因子であることが明らかになった。しかし心理状態では手術のみが有意な因子 (P=0.048) で, 患者の手術後の心理的落ち込みは大きく, 告知により手術の必要性を理解しても, 心理的負担は軽減できないことが明らかになった。

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© 日本頭頸部癌学会
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