抄録
平成10年11月より平成13年3月までの間に当科にて超選択的二経路動注化学療法を施行した頭頸部悪性腫瘍37例 (177回) の副作用, 合併症について検討した。軽度のものも含めると骨髄抑制についてはヘモグロビンの低下を62.2%, 白血球減少を43.2%, 血小板減少を8.1%に認めた。消化器症状については悪心, 嘔吐を57.1%, 粘膜障害を21.6%に認めた。いずれも Grade 4の障害を呈した症例は認めなかった。腎障害, 聴力障害は全例で認められなかった。重篤な合併症による脱落例は4例あり, DIC1例, 脳梗塞1例, 反回神経麻痺1例, 敗血症1例であった。合併症予防のため, 当科では様々な予防対策をとっているが, 頭蓋内進展例や気道周囲に対して施行する際は, 細心の注意と厳重な管理が必要であると考えられた。