日本健康開発雑誌
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原著論文
子育て家庭における幼児の入浴習慣
園田 巌早坂 信哉井戸 ゆかり渡邊 智石澤 太市綱川 光男谷野 伸吾
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2017 年 38 巻 p. 20-27

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抄録

背景・目的 女性の社会進出が進み、女性の出産・子育て期における労働力人口比率は著しい増加傾向を示している。このような社会状況の中、基本的生活習慣のひとつである入浴習慣に焦点をあて、その基礎的調査を実施することで子育て家庭における幼児の入浴習慣の現状に関して明らかにすることを目的とした。

方法 保育所7か所に通う幼児(3歳~6歳)の保護者311人を対象に、留め置き調査による横断的研究を行った。

結果 回収された調査票は223名(回収率71.7%)で、男児103名(47.2%)、女児115名(52.8%)、年齢は5歳11か月±7.8か月(平均±標準偏差)であった。浴槽浴を行う幼児は212名(98.6%)で、1週間あたりの浴槽入浴回数は、夏5.2±2.6(平均±標準偏差、回)冬6.3±1.7(同)であった。入浴時間帯は、午後6時~午後9時までが194名(87.4%)と最も多く、水位は、脇下101名(47.2%)、肩がかくれるまでが59名(27.6%)、みぞおちが31名(14.5%)であった。湯温については浴槽入浴が40.8±1.2(平均±標準偏差、℃)シャワーが40.8±1.3(同)とほとんど差はなかった。入浴同伴者は母親が平日92名(68.1%)休日61名(48.0%)、父親が平日23名(17.0%)休日47名(37.0%)と休日において父親の同伴率が急増していた。幼児の212名(96.4%)、保護者の203名(92.3%)が入浴を好きと答え、幼児の204名(91.9%)が浴槽浴を好きな入浴法とした。入浴目的は、洗浄が170名(85.9%)で、家族が幼児と同伴する理由は、入浴の世話86名(46.0%)、コミュニケーションが57名(30.5%)であった。

考察 多忙な子育て家庭においても入浴習慣は肯定的にとらえられており、親子のコミュニケーションツールとして重要な役割を果たしている可能性があることが示唆された。また、そのことが良質な子育てを実現するための重要なファクターになっている可能性があり、今後更なる調査を実施していく必要がある。

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