日本健康開発雑誌
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助成研究
温泉地ワーケーションにおけるプログラム介入が睡眠脳波に与える影響
芳賀 康平後藤 康彰
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2023 年 44 巻 p. 97-103

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抄録

背景・目的 本研究の目的は高濃度炭酸泉への連浴をともなうプログラム提供の睡眠の質に与える影響を観察し、企業に温泉ワーケーションのベネフィットを訴求することを通じて、温泉地の活性化に貢献することである。

方法 インフォームドコンセントを得られた、首都圏の在宅テレワーカー4名(男性2名、女性2名、平均年齢42.5歳、SD7.6歳)を対象とした。2022年10月に、被験者は高濃度の炭酸泉を有する長湯温泉で4泊5日のワーケーションを実施した。滞在中は温泉利用指導者の個別カウンセリング、温泉利用型健康増進施設における湯中体操、高濃度炭酸泉への毎日の入浴を体験した。滞在1週間前ならびに滞在中に睡眠時脳波、OSA睡眠調査票を計測し、滞在前後には、健康関連自己評価、末梢血液循環、唾液アミラーゼ活性を測定した。

結果 長湯温泉滞在中に全被験者で、睡眠時脳波の第1睡眠周期における総δパワー値、第1睡眠周期時間(レム睡眠を除く)、ノンレム睡眠時の総δパワー値、全ノンレム睡眠における第1睡眠周期の比率が滞在前週を上回った。また、滞在前後で全被験者で健康関連自己評価、OSA睡眠調査票の疲労回復因子、末梢血液循環健康度の改善が認められ、アミラーゼ活性が高値の者は低減が認められた。

考察 長湯温泉の高濃度炭酸泉における温泉入浴介入をともなうテレワークをともなう滞在が、深く質の良い睡眠を促し、末梢血液循環の改善、ストレスの低減に寄与する可能性が示唆された。今後も働きながらもQuality of Work Lifeを高められる温泉地の可能性を追求し、働き世代の温泉地の利活用を促進していく。

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© 2023 日本健康開発財団
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